台湾=宝島×鬼島 滞在記

台湾企業で働く日本人が台湾についてテキトーに語るブログ

「嫌韓」記事についてちょっと考えてみた

久しぶりの記事なのに台湾とは関係ないですけど、国際ネタということでひとつ。

 

ここ最近、「嫌韓記事」について考えることが多いです。

 

きっかけはヤフーニュースが、「嫌韓記事」を量産してたサー○ナとの配信契約を解除したことです。解除の正確な理由はわかりませんが、それを報じた

diamond.jp

を読む限りはPV重視一辺倒から方針転換したというのが遠からずという感じでしょうか。コメント欄に関しても、ヘイトスピーチに対応すると言及しています。

 

こうした流れを受けて、日本の嫌韓記事について考えた結果をここで少し書きたいと思います。正直、この件に関しては色んな人が語っているので、あまり新しい発見はないかもしれませんが。

 

先に断っておくと、自分の韓国(人)に対する感覚を一言で書けば、「あまり肌に合わない」です。ここ数年はほとんど関わってないですが、韓国や旅行・留学先の中国で出会った人々と交流した結果です。上下関係に厳しいところ(年齢、学歴、職業など様々)などはちょっと、というかかなり合わないです。自分が関わった範囲の話ですが。とはいえ、直接、反日的?発言をされた覚えはなく、昔はともかく現状は「苦手だけど、嫌悪というレベルではない」という感じです。

 

何が言いたいかというと、

「別に韓国が好きだからこんな文章を書いてるわけではない」ということです。

これを前提として読み進めてください。

 

嫌韓記事はなくならない

 

嫌韓記事について、まず思ったのは、この手の記事はそうそう簡単には無くならないだろうなということ。仮にヘイトスピーチを禁止する法律ができても、こういう記事はいくらでも書きようがあります。例えば、直接叩くのはともかく、韓国側の極端なコメントを使って日本人の韓国(人)への悪感情を煽る記事の場合、規制するのは難しいのではないでしょうか。(メディアや書き手に対するプレッシャーにはなるだろうし、絶対数は減るかもしれないですが)。

 

また、こういう記事には規制云々の前に多くの読み手がいます。変な話、サーチ○などの人たちが本業の中国ネタもそこそこに嫌韓記事を量産してるのも、「韓国憎し」の義憤からやってるわけではなく、単にそっちのほうが反応がよく、効率よくPVが稼げるからです。絶対的な需要がある以上、そう簡単にやめるとは思えません。現状、「中華料理店入ったら、メニューの半分が韓国料理だった」みたいな状態になってますが。

 

「メディアは社会の鏡」といいますし、メディアの質は社会の質と無関係ではないと思うわけです。

 

■殴りかかってくるやつを殴って何が悪いの?

 

多くの読み手がいる、ということは嫌韓ネタは多くの日本人にウケるということです。理由は色々あるでしょうが、その1つは韓国側の日本に対する姿勢、言ってみれば反日姿勢などを理由に「日本に殴りかかってくる韓国を殴り返して何が悪いの?」と、自分の発言(暴力)を正当化できるという部分にあるんじゃないかと思ってます。ヘイトスピーチをやめようという動きに対しても「悪いのは向こう(韓国)なんだから、これはヘイトじゃない」というような反論をそれなりに見ます。

 

そういう「社会正義のためにやっている」という理屈が通る場面もあるかもしれませんが、現状、嫌韓記事はむしろ、「不満を遠慮なく向けられる矛先」として、ストレス解消をするための「娯楽」と化してる側面が強いと感じます。

 

いうまでもなく、人間は満たせない欲求や不満をどこかで吐き出す必要があるわけです。歴史を見ても「こいつなら殴っていい」という存在はいつの時代でもあり、近年、一部?の日本人にとってその対象は……というわけです。

 

一方で、韓国側にも日本叩きは「正義」と思ってる人は当然いるわけで、日本側だけを責めるつもりはありません。

 

嫌韓ネタは書き手にも読み手にも「麻薬」

 

さて、そんな娯楽的嫌韓記事を積極的に発信しているメディアやその読者を見ていて思ったのは、嫌韓ネタって「麻薬みたいだよなぁ」ということ。例えば、書き手にとっては、大量の反応やPVという「多幸感」が得られる反面、本業のまともな記事が減ってもやめられず、逆に段々と嫌韓記事の分量が多くなっていく「依存症」や「倫理観の低下」、まともな読者が離れるという「副作用」があるという点で共通してるなと。

 

■ネットの声を使った煽り記事

 

また、嫌韓記事といっても、直接韓国を批判するもの、双方の感情を逆なでするものなど色々形式がありますが、自分が「やめたほうがいいよなぁ」と思うのは、前述のメディアがやってるような「韓国ネット」の声をタイトルや中身に使って反感を煽る記事の作り方です。

 

海外ネットの声を使った記事作りって「海外の反応」系のまとめサイトなどでもよく使われていて、コストをかけられないネットメディアには「お手軽簡単取材いらず」の手法です。嫌韓に関して言えば、日本のニュースに対する韓国ネットの「これは」という反応を探してこれば、日本人の反感を買ってPVを稼ぐような記事は翻訳できる人間がいればいくらでも作れます。

 

政治家や企業家、専門家、著名人などの反日・問題発言を取り上げて煽るのは、発言それ自体は事実ですし、怒りは基本的に相手の国やその個人に向きます。問題は「ネットの声」を煽りの道具にしてしまうと、矛先の対象は下手な場合、市民全員となるわけで、そうなってくると「もう地獄だな」と個人的には思うわけです。

 

例えば、日本の2chまとめサイトツイッターの極端なコメントが、意図的に「日本の世論」のような形で、海外の大手ポータルサイトで「ニュース」として紹介され、拡散すると思えば、想像しやすいかもしれません。

 

■会ったことも言葉を交わしたこともない人間を憎む

 

これまで他人事のように書いてきましたが、自分も昔はいわゆる「ネトウヨ」で結構中国・韓国嫌いでした。もし海外に出ていなければ、この文章の代わりに韓国なりを叩く内容を書いていたんではないでしょうか。

 

自分が変化したのは、おそらく中国での放浪や留学で、中国人や韓国人に実際に会って交流したからだと思います。正直、韓国に関しては知識や経験は薄いですし、相性がいいかといえば別ですが、「ネットによって形成された自分の中の中国人・韓国人像」を変えるには十分だったと思います。

 

それで、「会ったことも言葉も交わしたこともない人間を憎む」のは危険だというのが、この経験から得た自分の教訓です。そういう人は政府やメディアが一番操りやすい人間だと思いますし。なんですが、ネット上では「これ」が結構当たり前だったりするのですが。もちろんよく知った上で相手を嫌う人もいると思いますが、その場合は相手の美点もなにかしら見つけているはずで、それがある程度の「抑止力」になるはずです。

 

■おわりに

 

では、簡単には無くならない嫌韓記事に対して「自分になにができるのか」ということなんですが、できることはとりあえず「加担しない」というのが今のところの結論です。読み手としても書き手としても。

 

自分がやった「実際に会って相手を知ってみる」とか、反ヘイトの人たちがやってる「規制を推進する」とか色々やれることはあるかも知れませんけど、なかなか難しいよなと。

 

なので、言いたいのはとりあえず「加担しない」ことから始めましょう!ということです。

 

 

ザックリとした結論ですが、長文読んでいただいてありがとうございました。感想、ツッコミ、反論などお待ちしております。